はじめに
この記事は、筆者がIBM Think Digital 2020のセッションを観て個人的に感じた内容をまとめたものであり、登壇者の意図する内容と相違がある可能性があります。また、本ブログの内容は筆者の所属組織であるIBMの公式見解では無く、単なる個人の所感・意見ですのでご留意ください。
IBM Think
毎年、アメリカで行われるIBMの年次カンファレンスThinkですが、今年はCOVID-19の影響によりデジタルカンファレンス(オンライン開催)へと変更されました。
Thinkは毎年世界各国から4万人以上の参加者が一挙に集うグローバルカンファレンスです。2018年に、クラウド系の「InterConnect」と、コグニティブソリューション系の「World of Watson」の2つの年次カンファレンスが統合してThinkとなりました。
この規模では初の試みとなるオンライン開催ですが、日本時間の5/6(水)0:15に予定通りオープニングセッションがスタートされました。
Think Digitalでは、いくつかのセッションが並行して開催されます。
ライブセッション
タイムテーブルにスケジュールされた時刻に配信されるセッションで、4つのトラックに分かれています。
https://www.ibm.com/events/think/watch/agenda/
・Featured Session 1
・Featured Session 2
・IBM Business Partners
・Resilient Industry Leadership
オンデマンドセッション
予めレコーディングされた配信コンテンツで、好きなタイミングでいつでも視聴可能です。
https://www.ibm.com/events/think/watch/replays/
Keynote Session振り返り
The New Essential Technologies for Business
Arvind Krishna
Chief Executive Officer, IBM
Rajeev Ronanki
Senior Vice President, Chief Digital Officer, Anthem, Inc.
このセッションでは、今年新たにCEOとなったArvindから、IBM Cloudに焦点を当て、クラウドの重要性やAIの必要性について以下のメッセージが発信されました。
・企業の変革、オペレーションの改革が今後の(これまでも)重要な課題である。
・COVID-19による新たな問題が発生しており、これをIBMのクラウドサービスで解決していく。
ー サプライチェーンの問題解決
ー リモートワークを活用
・どのクラウドプラットフォームを選択するか?というのはビジネスに於いて非常に重要な判断であり、特に高い処理性能、可用性の担保は必須であり、数百万を超えるトランザクションへ耐えられる必要がある。
これらを踏まえ、Anthem, Inc.のRajeev Ronankiは、IBM Cloudを選択すべき理由を語ってくれました。
Anthemは、アメリカでの主要な医療給付会社で、生活とコミュニティを改善し、ヘルスケアをシンプルにすることを専門としています。
彼らは、ヘルスケアビジネスでの問題を解決する必要があり、技術、データの安全性を求めていることを示しました。
具体的に、彼らのシステムでは以下をサポートすべきとのことです。
・堅牢なデータ基盤
・相互運用性
・ユーザーフレンドリー
・予測とAI
・インサイトアップ
・柔軟性、拡張性
そこでたどり着いた答えは、IBM/RedHatのOpenShiftでした。AI、Software、Dataが揃っており、AIサプライチェーンがとても有効的であることと、なにより簡単に開発できて、スタンダードなものが必要だった彼らにマッチしたとのことでした。
Arvindによれば、IBM Cloudは企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させることがき、ビジネスパートナー同士の信頼関係をより強固なものにするとのこと。
また、IBMはビッグカンパニーのみならず、アントレプレナーへのエンゲージメントも大切にするというメッセージを出しました。
最後にWatson AIOpsを紹介し、ハイブリッドクラウドとしてプラットフォームをまたぐことの重要性について語られました。
Watson AIOpsは、システム運用における問題管理をAIを使って支援するものになります。例えばそれは、インシデントとして挙げられたチケットをWatsonの自然言語処理で自動識別し適切なアクションを自動判断しリコメンドしてくれたり、といったものです。
Watson AIOpsについての詳細はこちらをご覧ください。
Scale Innovation at Speed with Hybrid Cloud
Jim Whitehurst
President, IBM
Vishant Vora
Chief Technology Officer, Vodafone Idea Limited
Hillery Hunter
CTO and VP, IBM Cloud; IBM Fellow, IBM
このセッションは、元Red Hat社長兼CEOであるIBM社長のJimと、VodafoneのCTOであるVishantやIBM FellowのHilleryとの対話形式で、ハイブリッドクラウドに関してディスカッションが行われました。
まずは2つの重要なアナウンスについて。
1つ目はIBM Cloud Satellites
これは、すべてのIBMクラウドサービスをあらゆる環境へサービスとして提供するもので、高いアジリティとAPIドリブンなサービスが特徴です。
また、様々なフィナンシャルサービスがIBM “Public” Cloudに乗ってくることを伝えました。セキュリティ、ガバナンス、データ保護、レジリエンシーを意識した仕組みはIBM Cloudとして大事なポイントです、とのこと。
2つ目はSoftware Defined
5Gエッジコンピューティング、データ・ストレージといった技術の台頭により、今後はよりSoftware Definedになっていきます。
その中で、OpenStackとOpenShiftの活用は非常に有力なアプローチであるとのこと。
さらに、これらに加えブロックチェーンと量子コンピューティングを備えたIBMのクラウドプラットフォームは非常に強力なツールとなるでしょうともありました。
この流れで、Call for Codeの紹介が少しありまして、Jimからは「あなたが開発者なら絶対にCall for CodeのGlobal Challengeへすぐ参加すべき!」とメッセージが送られました。
登壇はHilleryへバトンタッチされ、彼女からはBM “Public” Cloudの魅力について語られました。
こちらでも先程同様IBM Cloud Satellitesについてそのメリットが伝えられ、ビジネスを継続させるエンタープライズとしてのクラウド基盤こそIBM Cloudというお話でした。まとめると以下のような内容でした。
・データ保護、エンタープライズグレード
・クライアントにとってフレンドリー
・ワークロード、ビジネスのコアを意識したクラウド
・COVID-19の影響によって露呈したビジネスの継続性に有用
・オートメーション
・ソフトウェアのフルスイート
・コンテナ、AI、データ、ブロックチェーン、量子コンピューティング
・IBM Cloud Satellites
・エンタープライズアジャイル
Public Cloud ReadyなFinancial Service一覧も紹介されました。
所感
とりあえず、キャッチアップできている内容だけ一部まとめさせて頂きました。現地参加していると向こうの時間で生活するので、良いのですが日本に居ながら海外時間のカンファレンスに参加するのってなかなか大変ですよね。
そういう意味では、このThink Digitalは同一内容のセッションが、2つの時間帯にそれぞれ配信されるので親切だなと思いました。(私は深夜に視聴しましたが)
また、本来であれば決して安くないカンファレンス参加費と交通費、宿泊代をかけないと参加できないイベントに、無償で手軽に参加できるというのはデジタルイベントのメリットかもしれませんね。
その他、主要セッションやオンデマンドセッションのまとめも可能な範囲で行っていきたいと思います。
ではでは。