DevRelとコミュニティマーケティング

Taiji
Dec 14, 2023

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はじめに

こんにちは、Datadog Developer AdvocateのTaijiです。
本記事は、コミュニティマーケティング Advent Calendar 2023 12月8日の投稿になります。

--- 追記 (2023.12.19) ---
記事内容がDevRelにも当てはまるので、
DevRel Advent Calender 2023向けにもリンクしました。シリーズ2の12/1分として。
--- 追記ここまで ---

今回は、DevRelとコミュニティマーケティングがどのように関わっているのかについて書いていこうと思います。これまで私が仕事をしてきた、IBMやOutSystems、現職のDatadogでデベロッパーアドボケイトやコミュニティマネージャーをやってきた経験を元に、特定の企業に偏ったものではなく、一般的な話として書こうと思います。

DevRel

DevRelとはなんですか?
このブログを読んでいる方の多くは、コミュニティマーケティングに関わってらっしゃる方かと思いますが、おそらくDevReについてはあまり知らないのではと思うので説明したいと思います。

DevRel = Developer Relations

マーケティング領域で広報を意味するPublic Relationsに対してDeveloper(開発者)とのRelation(関係)を技術を介して構築し、ベンダーと開発者の間に信頼関係を築いていくマーケティング手法の一つになります。

似たような言葉でDeveloper Marketingというものありますが、私の解釈で開発者向けのマーケティング戦略を実施するという点ではDevRelもDeveloper Marketingの一部であると考えます。

DevRel 3C/4C

Marketingに携わっている方であれば3C分析という言葉を聞いたことがあるかと思います。3C分析は自社、競合、顧客をリサーチした上で戦略を立てていくマーケティング手法ですね。

  • Customer/顧客
  • Competitor/競合
  • Company/自社

これに対してDevRelでも3Cという概念があります。DevRelの3CとはDevRelが取るべきアプローチを定義したものと言えるでしょう。DevRelでの3Cは以下のとおりです。

  • Code
  • Contents
  • Community

DevRelの3Cを詳しく知りたい方はこちら

さらにそこから発展して、DevRelの日本での第一人者でもあるMOONGIFTの Atsushi Nakatsugawa さんはDevRelの4Cを定義しています。DevRelの4Cは以下のとおりです。

  • Code
  • Contents
  • Conductor
  • Communication

これは、従来の3Cでは直接的に触れていなかったエバンジェリストやアドボケイトの存在をConductorという形で表しています。そして3CにおけるCommunityはCommunicationの中に入りました。

DevRelの4Cについて詳しく知りたい方はこちら

Community Marketing

さて、DevRelではこれだけの範囲をカバーしなくてはならないわけですが、その中でCommunityがなぜDevRelで重要なのかについてです。
もちろん、Communityだけが重要なわけでは無いのですが、今回はこのCommunityにフォーカスして説明をしてみます。

私はMKI時代にはテクニカルエバンジェリストとして、IBMではデベロッパーアドボケイトとして、OutSystemsではデベロッパーコミュニティマネージャーとして、現職のDatadogではやはりデベロッパーアドボケイトとして、それぞれDevRelに関わってきています。
その中で、DevRelアプローチでの活動というのは以下のフェーズを繰り返す(または適宜行ったり来たりする)必要があります。

この中で、大事なのはいかに多くの人を「ファン層」へ持っていくか、というところです。また、一度使ってくれても離れていってしまってはだめなのです。(チャーンの防止)

そのために、このフェーズ全てにおいて下支えをするのがコミュニティという場になります。
コミュニティという一言で表すと、いろいろな捉え方ができてしまいますが、DevRelにおけるコミュニティはいわゆる開発者コミュニティになります。
そのコミュニティのあり方も、対象の製品、サービスのベンダーが主導するもの、ユーザーが主導するもの、OSSなどでもともとベンダーが存在しないもの、など様々ですが、DevRelにおけるコミュニティで大事なのは「コミュニティメンバーを営業の対象にしない」ということです。

コミュニティメンバーには、対象技術・製品・サービスのファンであり、彼ら自身が自発的にその良さを外に広めてくれるようになるのが(DevRelにおいては)あるべき姿です。

そういう意味で、DevRelにおけるコミュニティは以下が必要な要素であると考えます。

  • コミュニティをリードするのはユーザーです
  • 参加者は主に製品のユーザー個人(学生含む)で開発者が多く、企業・団体に依存しません
  • 商用目的やビジネス目的のイベントはやりません
  • 活動内容はオープンで、積極的にSNSやブログ、動画などでハッシュタグと共にコンテンツを公開します
  • ベンダーやガバナンス側は、開発者視点で機能改善要望を自社へフィードバックします
  • 参加者の目的は、対象製品を使った開発の方法やTips、事例などの情報交換や、同じモチベーションの仲間を増やすことです
  • ベンダーの目的はコミュニティメンバーに自社のファンになってもらい、そのメンバーが対象製品を周りに広げてくれることです
  • KPIはコミュニティを通じたユーザー数(新規、継続、チャーン)、イベント開催数やイベントごとのDeveloperへのリーチ数、などで比較的ロングタームで設定されます

さいごに

2015年からDevRelに携わってきてますが、以前はエバンジェリストやアドボケイトのようなRoleこそがDevRelの中心と考えていました。もちろんそれはある意味正しいのですが、この9年間でマーケティングを学び、マーケティングの視点を持ってDevRelへ携わってきて、コミュニティ(コミュニティマーケティング)がいかにDevRelにおいて重要な要素であるかを感じました。

コミュニティマーケティング関連の仕事に付きたいと考えている方で、求人があまり無いなと感じてる方、DevRelの方面で探してみると意外とあるかもしれませんね。

私もまだまだ、コミュニティマーケティングは勉強中です。なぜならコミュニティマーケティングのあり方は時代によって変化していくからです。これからも、私なりに提供できるナレッジやTipsなどあればブログに起こしていこうと思います! ではでは 👋

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Taiji
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Written by Taiji

Datadog Senior Developer Advocate | Ex-OutSystems Dev Community Advocate | Ex-IBM Dev Advocate | Microsoft MVP | 筑波大学、名城大学非常勤講師 | 記事は個人の見解であり、所属する組織とは関係ありません。

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