DevRelとエンタープライズコミュニティの関連性

Taiji
Dec 6, 2022

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本記事はDevRel Advent Calendarの5日目のブログになります。

みなさんこんにちは、DatadogテクニカルエバンジェリストのTaijiです。
最近思うことがありまして、DevRelとカスタマーサクセスの関連性について少し書いてみたいと思います。

DevRelとは

まずおさらいですが、DevRelとは何でしょうか?
MOONGIFTさんがまとめているこちらが非常にわかりやすいと思います。

こちらにも「一言で語るのは非常に困難」と書かれている通り、DevRelとは様々なアプローチがあり、様々なアクティビティが求められます。
その多くは、認知度向上から始まり興味・関心につなげ、その製品のユーザーとなってもらいファンになってもらう、という流れがあるでしょう。

ここまで見ると、マーケティング施策の視点から見ても自然な流れなのでは無いでしょうか?

既存顧客へのアプローチ

さて、ここでややこしくなってくるのが、既存顧客に対してのアプローチです。

DevRelの4Cでのコミュニケーション(または3Cでのコミュニティ)では、開発者コミュニティの育成が大事な要素となってきます。まあ、マーケティング視点ではユーザーコミュニティと言っても良いですが、DevRelにおけるユーザーはデベロッパーなので、ここでは開発者コミュニティと表現します。

ユーザーコミュニティは、2通りのスタイルが求められることが多いです。

  1. エンタープライズコミュニティ(ビジネススタイル)
  2. オープンコミュニティ(カジュアルスタイル)

オープンコミュニティに関しては、基本的にその対象の技術やプラットフォーム、ツールなどが好きな人なら誰でも参加OKなタイプのコミュニティです。
コミュニティイベントや勉強会でセッションなどやる場合も、使ってみた系やサブカルと絡めた系、お遊び要素あり系などの内容がちらほら含まれたりします。

対してエンタープライズ系のコミュニティでは、基本的にビジネスに関連するテーマを設けてディスカッションや勉強会を行うケースが多いです。分科会やSIGを設けて、参加者同士の活動がそれぞれのビジネスにつながる可能性を持っているのが特徴です。

で、エンタープライズコミュニティにおいては、基本的には既存ユーザーが参加対象者となることが多いです。
そうなると、これはマーケのファネルで言えば最初の認知、興味・関心のフェーズを過ぎた段階に来ているとも言えるでしょう。

Google CloudとMicrosoft Cloudのエンタープライズコミュニティ

これはDevRelなのか?

では、これはDevRelでは無いのでしょうか?
その技術に関する熱心なファンを育成し、外部アドボケイトとして成長する可能性に対しての活動はDevRelと言って良いと思います。
分かりやすいのが、Microsoft MVPやAWS Heroesなどでしょう。この領域に関してサポートしていくのはDevRelの領域ではないでしょうか。

しかし、しばしば議論に出てくるのが、既存ユーザー/既存顧客に対してのコミュニティ施策はDevRel Teamが行うべきか、CSM TeamやPartner Teamが行うべきか、といった問題です。
一見すると難しそうに感じるのですが、実は非常に明確だと私は思っています。

要するに、そのコミュニティの参加者は誰なのか(誰のためのコミュニティなのか)、そして目的は何なのか、ということです。
対象者がDeveloper(開発者/技術者)で、技術に関する情報共有やコネクション拡大が目的ならDevRelの範疇です。
対象者がLoBやIT Leader、Executiveなどで(一部技術者を含んでいたとしても)、目的がベンダーとユーザー企業の、またはユーザー企業同士のコラボレーションへの発展が目的なら、これはカスタマーサクセスやパートナービジネスでしょうし、もしかしたらBizDevの領域かもしれません。

残念ながら、多くの企業ではここの見極めが上手くありません。いや、分かっていながら気づかないふりをしているのかもしれません。なぜなら、通常のCSM TeamやPartner Teamなどで、コミュニティにリソースを割くことが難しいからです。

コミュニティだからCommunity TeamやDevRel Teamね、とひとまとめにカテゴライズしてしまうと、そのコミュニティは失敗の道をたどることになるでしょう。
ポストフェーズにおけるエンタープライズコミュニティこそ、慎重にその存在理由と目的を見定め、然るべき部門の人間が担当することが大事だと思います。

最後に

エンタープライズコミュニティは非常に大切な存在です。
時にはDevRelに関連するメンバーとコラボしながら進めることも必要になるかもしれません。ぜひ、コミュニティだからと敬遠せず、アカウント担当の部門の方も、コミュニティと向き合ってみると良いのではないでしょうか。

なお、Datadog Japanでは現在コミュニティマネージャーというRoleがありません。既存のユーザーのみなさまと、どのように、どういう、コミュニティを形成していくのが良いか、私もまだまだ手探りですが、徐々に進めていきたいと思います!

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Taiji

Datadog Senior Developer Advocate | Ex-OutSystems Dev Community Advocate | Ex-IBM Dev Advocate | Microsoft MVP | 筑波大学、名城大学非常勤講師 | 記事は個人の見解であり、所属する組織とは関係ありません。