さて今回は、我々デベロッパーアドボケイトの仕事が、このCOVID-19配下でどのように様変わりしたのかについてお話したいと思います。
コロナ禍であろうがなかろうが、企業に属してアドボカシーを行う役割を担っている以上、結果を出す必要があります。しかし、このような状況下においては、普段の常識が使えません。新しい発想が必要になりました。
KPI
まずはKPIについて触れたいと思います。通常、エバンジェリストやアドボケイトのKPIは以下のようなものが多いのではないかと思います。
・サービス利用者数
・開催イベント数
・エキスパートプログラムの誘致数(例:MVPやIBM Championなど)
・パートナー、クライアントに対してのエンゲージメント数
これらを、少なくともコロナ禍以前より下げてしまってはいけないです。(実際に下がるかもしれませんが)
活動
上記で挙げたKPIを目指すために、我々デベロッパーアドボケイトはどのような活動をするのでしょうか?
基本的に、イベントをどんどん開催します。もしくは、自分が登壇者や講師として外部のイベントへ参加します。これにより、開発者へ影響を与えて自分が啓蒙すべきサービスのファンを増やしていく訳です。
しかし、コロナ禍ではこの状況が変わってきました。当然物理的な会場にたくさんの人を集める訳にはいきません。そうなると、イベントのデジタル化(オンライン化)は必然と言えるでしょう。
デジタルイベント
これは、どこの企業やコミュニティ団体でもそうだと思うのですが、イベントをデジタル化する、という正しい答えはまだ見つかっていないのではないかと思います。(答えは一つとも限りませんしね)
なので、この状況をトリガーにしていろいろなWebサービスも登場しました。今までのサービスに付加価値を付けたものも登場してきました。我々はそのようなツールを活用してデジタルイベントを計画し、実行する必要があります。
私はこの2月から12月までの10ヶ月間で以下のデジタルイベントに企画、運営で関わってきました。
・IBM Developer Dojo:毎週2回
・Water Cooler Conversation:隔週
・DevRel Meetup in Tokyo:毎月
・Node-RED UG Meetup:3ヶ月に1度
・Node-RED Con Tokyo 2020:Annual Coference
・DevRelCon Earth 2020:Annual Conference(DevRelCon Tokyo/SF/Londonの代わり)
・DevRel/Asia 2020:Annual Conference(DevRel/Japanの後継・拡張)
・筑波大学講義
・埼玉大学講義
・九州大学講義
など、細かいものを入れると他にもたくさんありますが、だいたいこんな感じです。
メリットもあり、デメリットもありのデジタルイベントですが、ざっくり以下のようにまとめます。
メリット
会場の準備が不要
→ 会場を探す必要がない
→ 会場費がかからない
→ 参加者人数の増減にやきもきしなくて済む飲食の準備が不要
→ 料理や飲料を手配する必要がない
→ 飲食費がかからない
→ 参加者人数の増減にやきもきしなくて済む上記理由から、参加者へ参加費を負担頂く必要がなくなるので、参加しやすくなる。移動が不要
→ フライト不要なので海外からの参加者が増えた
→ 国内でも移動が不要なので、複数イベントに掛け持ち参加ができる
デメリット
一箇所(会場)に集まれない
→ オンラインが故に参加者同士のコミュニケーションが希薄になる
→ 技術サポートを必要とするイベントだとサポートが難しい
→ 自宅参加になる場合、家庭の都合で参加が難しい可能性が生じやすい
まとめ
こうしてみると、デメリットよりもメリットのほうが大きい気が今のところはしています。一方で、参加者同士のコミュニケーションが難しいことから、新規のコネクション、リレーションを構築することが難しいわけでして、なかなかDevRelとしては厳しい面もあります。
大事なのは、既存(オンサイト/オフライン)のイベントのあり方にとらわれず、オンラインならではの新しいスタイルを見つけていくことだと思っています。
前述の通り、ここに対する答えはまだ見つかっていません(少なくとも私は)。しかし、試行錯誤しながらimproveしているのもまた事実です。例えば、Node-RED ConなんかはTokyoで開催しながらGlobalカンファレンスの雰囲気を提供することに成功しました。これは、まさにデジタルで渡航が不要になったことにより、Node-RED開発者のNickや海外メンバーがリアルタイムで登壇してくれたことのおかげです。
同じように、DevRel/Asiaもかなり大規模のアジア圏間ファンレンスを各国の現地オーガナイザーと連携しながらリアルタイムで7トラック同時開催を成功させました。
このような体験は、こういった状況下に置かれたことで発生したある意味新しい試みだったと思います。
まだまだ新型コロナウィルスは収まることを知りませんが、世の中が暗くならないよう、我々でDevloper界隈を盛り上げていきたいと思います。
ではでは。